
歴史
柳谷観音は806年(大同元年)平安時代、清水寺を開山された第一世延鎮僧都により開創されました。 延鎮僧都は 『西山にて生身の観音様に出会うことができる』 という夢のお告げにより、清水寺からこの西山に入り、柳(楊)生い茂る渓谷の岩上に生身の観音様を見つけられました。 その観音様が、古来より眼病に霊験あらたかな十一面千手千眼観世音菩薩だったということです。
十一面千手千眼観世音菩薩は十一の顔と千の手。更にその千の手のひとつひとつに眼を持つとされています。 あらゆる方向のあらゆる人を見失うことなく救済できる力を持った、とても徳の高い観音様です。 延鎮僧都は喜び、その場所に堂宇を建て観音様をお祀りし、『楊谷寺』としました。 楊谷寺は『柳谷観音』として親しまれ、眼病平癒の祈願所として天皇家公家の方々を初め、人々の厚い信仰により支えられてきました。 その信仰と伝統は1200年経った今も変わらずここに息づいています。
柳谷観音・楊谷寺は「京都・西山三山(楊谷寺、善峯寺、光明寺)」のひとつに数えられております。
また、新西国霊場のひとつにも数えられております。


空海の霊水
弘法大師の独鈷水(おこうずい)
延鎮僧都は夢のお告げ通り生身の観音様を見つけ楊谷寺を開創後、清水寺に帰らなければならなくなりました。 その後、811 年、乙訓寺の別当(総括管理の僧官)を命じられた空海は当山を参詣されていました。
ある時、お堂のそばの溜まり水で親ザルが目のつぶれた子ザルの眼を一心不乱に洗っている姿を見て、空海が17 日間の祈祷を施したところ、子ザルの眼が開きました。 空海はこの不思議な水にさらに祈祷を施し、眼病に悩む人々のために霊水にしたという伝説があります。 その霊水が、独鈷水(おこうずい)です。その由来から当山第二世は弘法大師と仰ぎます。
古くより、眼病に悩む人々が当山で籠ってお経を唱えたり、数珠繰りやご祈祷、独鈷水(おこうずい)を飲んだりして病気を治癒されてきました。
その人々が郷里に帰り、治ったことをお話になる事で更に信仰が広がり皆様から『やなぎださん』と呼ばれ親しまれてきました。現在でも全国から来られる多くの参拝でにぎわっています。
また、今では眼(がん)という言葉にかけてがん封じのご祈祷をされる方も増え、実際に命を救われた方々のお参りも絶えません。

歴代天皇も祈りを捧げたご利益寺
当山には古くから天皇家のご参拝もあり関係も深かったので、寺を囲む線には天皇家ゆかりの寺 の証として、寺格の一番高い5 本線が入っております。
豊臣秀吉の側室、淀殿は当山の観音様を信仰し、淀城におられる時毎日当山の水でお顔を洗って いたとも言われ、江戸時代には112 代霊元天皇が眼病を治癒されたことをきっかけに明治に至るまで天皇家に独鈷水を献上しておりました。
113 代東山天皇は皇妃新崇賢門院(四条の局)と共に子宝・安産祈願をされ無事皇子を授かりましたが、皇子が9 歳の時に崩御されたので、後に114 代中御門天皇となり追善菩薩として奥之院に観音様を作られました。
そのような由縁から当山には数々の天皇家より下賜されたもの品物が納められています。
淀殿よりご寄進の厨子は徳川の世になった際に本堂より移され阿弥陀堂に、天皇家の下賜物は寺宝庫に納められています。



1200年間の伝統
当山は1200年という長い年月の中で、信者の方々により歴史を紡がれてきました。時代を動かす重要人物との縁も数知れません。そのため当山は、天皇家から数々のお品を頂戴し、現在寺宝として大切に保管しています。 是非当山の中に眠る様々な物語に想いを馳せながら境内をお参りください。 山門は四脚門(刺客門)といい、かつては皇族・公家方達専用の門でした。 その昔、霊元天皇が独鈷水で眼病を治癒されたのをきっかけに独鈷水を天皇へ献上するようになり、皇居が東京に移るまで続いていました。 又、東山天皇の皇妃新崇賢門院(四条の局)さまが皇子の誕生を望みながらもなかなか恵まれず、当山本尊に祈祷されていたところ、念願の皇子(後の中御門天皇)がお生まれになりました。そのお礼として、中御門天皇が当山ご本尊を模し、勅刻された仏像が奥之院のご本尊としてまつられています。

文化財
京都府指定文化財の本堂や山門、庫裏などがあります。また、京都府指定名勝の浄土苑は、江戸時代中期の作品で、処々に大きな石が安置され、立石は仏・菩薩に見立てられています。
当山に伝わるの数々の寺宝、皇族ゆかりの宝物は寺宝庫に納められています。


別院
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宇治柳谷別院
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柳谷寺草津別院
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北海道別院興隆寺
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